挨拶

ご同輩の、ご訪問、大歓迎いたします。
「なにごとのおわしますかは知らねどもかたじけなさに涙こぼるる」(西行)
徒然なるままに観想を記しています。

2010年12月28日火曜日

情報流が権威を洗い流す



情報発電所が整備され、あらゆる情報が蓄積されると、人々は新聞、ラジオ、テレビなど既存のメディアに頼らなくても、必要な情報をいつでも、どこからでも入手することができるようになる。
情報流の川上で情報をコントロールできた既存のメディアの提供する情報の相対的価値が低下する。
これまで社会の支柱であったマスメディアの権威は失墜する。

「過去20年間で米国の新聞読者数は急落した。
1984年の6,300万部でピークに達した後、
米国の日刊紙の発行部数は年間1パーセントの割合で減り続け、
2004年には5,500万部となった。

それ以降の減少傾向は一段と深刻化した。
2005年は2パーセント以上、
2006年は約3パーセント減少した。

大手新聞は特に激しい状況だ。
2006年の4月から9月にかけての半年で、
「マイアミ・ヘラルド」の発行部数は8.8パーセント下落した。
同じく「ロスアンゼルスタイムズ」は8.0パーセント、
「ボストングローブ」は6.7パーセント、
「ニューヨークタイムズ」は3.5パーセント、
そして「ワシントンポスト」は3.3パーセントも読者を減らした。
1964年には、米国の成人の81パーセントは日刊紙を読んでいた。
それが2006年にはわずか50パーセントの人々しか読んでいなかった。
読者数の減少は特に若年成人で急激である。
18才から24才までの日刊紙読者数は、
1970年には73パーセントだったが、
2006年にはわずか36パーセントまで落ち込んだ」(「クラウド化する世界」p180 )

日本の新聞の発行部数・広告費については次のように
アメリカほどではないが、確実に発行部数が減少、特にスポーツ紙の発行部数は30%減である。
新聞広告費については、総広告費が3%の減少に止まる中で、新聞広告費の減少は46%と非常に大きい。

日本の新聞の発行部数について(社団法人日本新聞協会を参照して下さい)
2000年 一般紙47,401,669部 スポーツ紙6,307,162部
2010年 一般紙44,906,720部 スポーツ紙4,415,120部
新聞広告費については、
2000年 総広告費61,102億円 新聞広告費12,474億円
2009年 総広告費59,222億円 新聞広告費6,739億円

加工された情報には、一定の見解が含まれる。
我々は多くの場合、そうした加工された情報を事実として認識していたのである。
一定の見解によって事実を解釈するように方向付けられていた。
その一定の見解というのが世間の常識として受け容れられていたのである。

マスメディアの権威は一つには常識編集者としてのその独自の見解にあった。
個々人は、こうして提供された常識を基準に独自の見解を構成していたといえる。
マスメディアの権威の失墜とはこうした見解、世間の常識といわれるものが崩潰することを意味する。
見解の公的基準が無くなるのである。

個々人は公的基準から解放され独自の見解を持つことができる。
いや独自の見解を持たなければならない。
しかし、その見解が正しいのかあるいは価値があるものなのか、どのように判断すればよいのであろう。

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