次の五つの記事をもとに、まず、東洋ゴムの問題から始める。
「東洋ゴム免震偽装、3つの教訓」
は、次の三つを教訓としてとらえる。- 既存のガバナンス制度の形骸化である。
- 社内報告制度の不備である。
- 「傍流事業」のリスク管理の不徹底だ。
巨大組織の常として、末端まで目が届かなくなる。
- 連結売上高3900億円(2014年12月期)のうち免震ゴムは約7億円で、売上比率は約0.2%に過ぎない。
いや、目を向けなくなるのだ。0.2%にこだわっていてはいけないのである。
- 東洋ゴムにとって、不正によって経営トップが辞任するのは今回が2回目。
だから、同じことが繰り返される。
組織改革・制度改革をするよりも、対象療法で、社長を替え、傍流の人を変えるだけで事足りる。
- 2007年にも、建物の断熱パネルで性能データを偽装していたことが発覚して社会問題化し、当時の社長が辞任している。断熱パネルもまた、東洋ゴムにとって傍流事業だった。
利用者が見えていないので、考えない。
- 特に免震ゴムといった利用者の安全に直結する製品ならなおさらだ。
しかしながら、そもそも、こうした声は、傍流事業に届かないところに問題がある。トップの交代だけでなく、組織体質・構造の偽装を解決することが先決である。
偽装の原因、偽装された組織そのものにある。
「東洋ゴム、防振ゴムで不正を発表 データ改ざんなど」
は、 次のように- 船舶や鉄道車両に使う防振ゴム製品で不正をしていた
と免震ゴムから防振ゴムへ偽造は広がったことを伝える。さらに
- 材料試験検査をしなかったり、結果を改ざんしていた
という。 その原因として、損耗率・返品率・不良率、つまり原価率向上圧力が考えられる。
要するに、怠惰になった。- 東洋ゴムは過去10年間に18社に対して合計8万7804個の問題製品を出荷していた。不正については8月20日に子会社社員から一報があり、9月2日に製品の出荷を停止していた。
と、この18社の検品はどうであったのか?18社の品質管理体制が問われる。気づいていた者はいなかったのか?
共同正犯の可能性はないのか?
- 免震ゴムの性能偽装問題を受けて東洋ゴムは国内外の全23拠点で緊急品質監査を実施し、8月に防振ゴムを含む製品で「正規品が出荷されていることを確認」としたが、その後に不正が発覚した。
という結果を見れば、グレーゾーンの線引きを間違えたようである。
共同正犯の捜査範囲をどこまで広げ、問題解決を図るか、今後の問題である。
「東洋ゴム、防振ゴムでも不正 品質検査せず出荷」
は、免震ゴムも、防振ゴムも小さな売上高であったという- 東洋ゴムの防振ゴム事業の売上高は、免震ゴム事業(年7億円)と同程度とみられる。
- 新体制を発表しているが、防振ゴム問題の発覚で経営陣の見直しが再度迫られる可能性もある。
経営陣の見直しは必至である。
「東洋ゴム:安全宣言「拙速だった」 謝罪会見 - 毎日新聞」
は、安易に過ぎることを警告する。この感覚はどこから生まれるのだろうか?- 「3度目の不祥事を起こしたら会社の存続は危うい」との社外調査チームの警告は生かされなかった。
会社の存続より重要なのは、自己の保身か?
- 不正があったのは免震ゴム問題の時と同じ子会社の「東洋ゴム化工品」明石工場だった。
工場全体の問題として考えなければならない。
- 今回の防振ゴムの不正は8月19日まで続いていたという。
免震ゴムの問題が、あったにもかかわらず、問題を他人事とし、当事者として考えない。問題となる行動が日常化していた可能性がある。
- 複数が不正に関与した疑いがあり、現在、OBを含め20人から聞き取り調査をしているという。
ワークフローが定常化していたことが考えられる。
「東洋ゴム、防振用も偽装 列車・船舶向け8.7万個:朝日新聞デジタル」
は、不正が長期にわたり、疎の範囲が膨大であることを明らかにし、負担増を原因として挙げる。- 内部通報を受けて過去10年分を調べたところ、鉄道車両メーカーや造船関連企業など18社に計189種類、8万7804個の不正な部品を納めていたことがわかった。鉄道車両では数千両分、船では数百隻分に相当するという。
これらの鉄道車両や船舶の安全性は、どのように確保されていたのであろうか?
- 船舶用が166種類、5万6126個、鉄道車両用が6種類、2万9146個、その他産業用が17種類、2532個に上る。子会社「東洋ゴム化工品」の明石工場(兵庫県稲美町)が製造した。
- かかわったのは、明石工場で数十人いる品質保証課の複数の従業員。
上記の二つは、すでに検討したことと重複するが、改めて、品質保証課の人たちの仕事意識、プライドを問いたい。
- 東洋ゴムによると、品質保証課では08年に担当者が減らされ、この時期から不正が増えたという。改ざんしたデータで試験をやり過ごそうとした背景に負担増があった可能性もある
その圧力を作り出しているものはなになのだろうか?
次の7つの記事をもとに、三井不動産系・旭化成系の偽装について、検討する。
- 虚偽データで基礎工事、大型マンション傾く 三井不動産レジ販売
- 三井不系、横浜のマンション建て替えも 虚偽データ工事
- 施工不良マンション:「知ってたら買わなかった」住民怒り - 毎日新聞
- 施工不良マンション:「やっぱり傾いていた」住民不安 - 毎日新聞
- 施工不良マンション:旭化成建材、データ偽装を認める - 毎日新聞
- 傾きマンション、杭施工記録に改ざんの跡 旭化成子会社:朝日新聞デジタル
- 旭化成建材がデータ改ざん 横浜の傾いたマンション 旭化成、調査委員会を発足
「虚偽データで基礎工事、大型マンション傾く 三井不動産レジ販売」
は、住民が14年11月に気付いたというのであるが、・・・。- 建物の全長56メートルに対し、両端で最大2.4センチの差が生じている。14年11月、住民らが廊下の手すり部分の高さに差があるのに気付いたという。
にもかかわらず、問題が今日まで公表されなかったのはなぜだろう?
- 傾いたマンションの計52本の杭のうち28本の調査を終えた時点で、6本の杭が地盤の強固な「支持層」に到達しておらず、2本も打ち込まれた長さが不十分であることが判明した。
傾いていなければ、調査もされなかったであろう。
- 虚偽データは4棟のマンションの計473本の杭のうち、傾いた建物で10本、他の建物で28本が確認された。他の場所のデータをコピーし、加筆していた資料もあった
意図した者がいたのである。一人でできることではない。
- 14年にも横浜市西区で発覚し、販売した住友不動産が住民に一時転居を要請する事態となった。同市は住友不動産と施工した熊谷組などに対し、建築基準法に違反するとして行政指導した。
すでに、14年に公になった問題があり、経験済みの事件である。にもかかわらず、繰り返された。
「三井不系、横浜のマンション建て替えも 虚偽データ工事」
は、因果関係を解明することを表明したという。- 今回の問題について虚偽データ使用と、マンション棟が傾いたこととの因果関係を解明する方針を表明。
「施工不良マンション:「知ってたら買わなかった」住民怒り - 毎日新聞」
は、ある住民は、昨年9月に、ずれを見つけたにもかかわらず、取り合ったもらえなかったことを伝える。- ある住民男性は昨年9月に、マンションの棟と棟をつなぐ廊下の手すりにずれを見つけ、同社に連絡したが、「東日本大震災の影響で問題はない」と回答。男性が今年、管理組合の理事会を通じて施工記録を要求すると、支持層に杭(くい)が届いていないとの報告があったという。
異変はほかにも現れ、
- 傾いた棟の1階に6年前から住む男性(81)は「1カ月ほど前に玄関のドアがきしんで開きにくくなり、異変に気づいた。住民説明会では『解決に1〜2年かかる』と言われ、その間に資産価値が下がってしまうかも」と表情を曇らせた。
住民の心配は増すばかりである。そうした住民への配慮はいかがなものか?
「施工不良マンション:「やっぱり傾いていた」住民不安 - 毎日新聞」
が示すことは、- 三井不動産は9日から説明会を開いているが、住民全員が参加しているとは思えない規模という。女性は「他の住民の希望が分からないのでどう対処していいのか。建て替えるにしても一時的な引っ越しが必要になるので、三井不動産とは対立しないで解決を図りたい」と話した。
本来は、被害者として、強者として、過失を問うことのできる立場でありながら、そこには弱者としての住民の姿が映るばかりである。
- 基礎工事の際に行った地盤調査のデータを偽装していたと認めた。
- 現場の施工状況などを記録する「施工報告書」に、転用、加筆したデータを記載していた
- 同社広報担当者は「建物の補強、改修にかかる費用を全額補償する」と謝罪した。
CSRが問われて久しい。社会的責任を果たすということは、社会的コストを軽減することでもある。にもかかわらずこのように、企業が偽装、不正を繰り返すのは、コストが見合うからではないか。
こうした不正によって生じたコストは社会的な損失である。原発のコスト計算と同様に、社会的コストは無視され、一般消費者からは見えなくされ、結果として、価格やその他保険などの付随サービスの中に組み込まれ、結局は消費者が負担することになる?こうして、社会的コストの増大が難民の増大につながることになる。
無駄な仕事をたくさんすることで難民、困窮者を作り出しているのだ。
「傾きマンション、杭施工記録に改ざんの跡 旭化成子会社:朝日新聞デジタル」
は、「旭化成建材」が偽装を行ったという。
問題は、住民は、旭化成・三井不動産が提供する商品・サービスを信頼して購入したのである。ブランドに恥じない仕事、製品サービスの提供を期待していたのだ。それは、単に旭化成建材に問題を発見するだけでは収まらない。
「旭化成建材がデータ改ざん 横浜の傾いたマンション 旭化成、調査委員会を発足」
させたという。- 虚偽のデータを使った動機などはまだ分かっていない。
動機の解明当然のことであるが、
- 問題となったマンションでは、4棟のうち、傾いた建物を含む3棟の杭計38本で虚偽のデータが使われた。
なぜ、そうした傍系企業に、仕事を発注したのか。
一定の基準をクリアし、その資格があると判定していたからであろう。
とすれば、その採用基準、管理プロセスが陳腐化していることになる。
適応不良であったのだ。
プリベンティブメンテナンスは、管理会社の「セールスポイント」ではなかったか?
歌を忘れたカナリヤになったのか。
いずれにせよ、旭化成・三井不動産の責任は重い。
こうした大型連携に破たんが現れるのはなぜか、そこを明らかにしなければ、根本的な解決はできないであろう。
偽装は、国内だけではない。ドイツでは、インダストリー4.0の盟主に位置付けられたVWも偽装に手を染めた。
偽装は、近代化そのものに内包された問題ではないだろうか。
詳細はこちらから。
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